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高齢者夫婦の事例

事 例

乙丙さん夫婦は、乙さん(夫)が75歳、丙さん(妻)が73歳の高齢者夫婦です。子どもは1人いたのですが、不幸にも病気で先立たれ、孫もおらず夫婦2人での生活でした。財産は自宅マンションと預金がありましたが、乙丙さん夫婦が心配していたのは、夫婦どちらかに万が一のことがあった場合のことです。

乙さんの相続人は丙さんだけ、丙さんの相続人は乙さんだけという状態でしたので、乙丙さんは話し合って、どちらかが亡くなった場合は残された方がマンションを売却し、その売却代金をもとに高齢者のための施設に入所することにしました。

その後、乙さんが亡くなり、丙さんが一人残されると、丙さんは乙さんを失ったショックからか徐々に判断能力の低下が見られ始め、マンションという重要な財産の処分をできるような状況ではなくなってしまったのです。乙さんはマンションにひとり残り、あるとき近所の方から連絡を受けた市役所の担当者が訪問したところ、室内は荒れ果てた状態で乙さんには痴呆の症状があるというが判明しました。

解 説

最近では、高齢者夫婦で財産があれば、どちらかが他界した場合に備えていることが増えています。しかし、今回の乙丙さんのように話し合って処分方法まで決めていたものの、予想していなかった事態が生じて実現できなくなることが多くあります。

乙丙さん夫婦は、遺言書を書いて、マンションの売却などを第三者に予め任せておけば今回の事態を避けることができたはずです。

判断能力の低下を予想し、任意後見契約を締結し、その受任者をあわせて遺言執行者に指定しておけば、今回の乙丙さんの不安は解消されていました。

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岩上公一

代表弁護士 岩上  公一 神奈川県出身 東京弁護士会

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